キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うものであり、平成28年(2016年)4月より、職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門家として「キャリアコンサルタント」が職業能力開発促進法に規定されました。
キャリアコンサルタントになるためには、キャリアコンサルタント試験に合格等の上、キャリアコンサルタント名簿に登録することが必要になります。登録制(5年ごとの更新)の名称独占資格とされ、守秘義務・信用失墜行為の禁止義務が課されています。
ここでは、 キャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングとは何か?について、丁寧に紹介していきます。
キャリアコンサルタントが必要とされる時代背景
現代社会は、急速な技術革新やグローバル化、少子高齢化などの要因により、労働市場が大きく変化しています。働き方改革やリスキリング(技能の再習得)の重要性が叫ばれる一方で、キャリアに迷いや不安を抱える人も増えています。終身雇用や年功序列といった伝統的な働き方が崩れ、個々人が自分自身のキャリアを主体的に設計していく必要がある時代となりました。
こうした状況の中で、キャリアコンサルタントは、個々人が自らの可能性を発見し、最適な選択をできるよう支援するという重要な仕事をしています。
また、企業においても多様な人材を活かすためのアドバイザーとして、キャリアコンサルタントが必要とされる場面が増えています。仕事を含む人生そのものとしてのキャリアに関する悩みを抱えるすべての人に寄り添う存在として、キャリアコンサルタントの存在意義はますます高まっているといえます。
キャリアコンサルタントの存在意義とその可能性
キャリアコンサルタントの存在意義の一つとして、一人ひとりの人生の可能性を広げることがあげられます。キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを通じて、単に転職活動を支援するだけではなく、自分らしい生き方や働き方を見つけるための伴走者としての役割を果たします。
例えば、人生の節目で立ち止まっている人に寄り添い、選択肢を整理し、未来への道筋を描けるよう支援する。これによって、その人の人生だけでなく、家族や一緒に働く仲間といった周囲の人々や組織、さらには社会全体にもポジティブな影響を与える可能性があります。
さらに、キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングは多様性を尊重し、ジェンダーや文化の違い、働き方の多様性を活かす社会を推進する役割も担っています。人々が自分らしさを大切にしながら、社会の中で価値を発揮できる未来を創る。それが、キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングが持つ大きな可能性の一つです。
キャリアコンサルタントの仕事の魅力
キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングの現場には、さまざまな感動的な瞬間があります。
例えば、
- 進路選択に悩んでいた学生が、自分の好きなことや得意なことを整理することで、「自分にもできることがある」と気づき、具体的な進学先を決めることができたとき
- 今の仕事を辞めようかと思い悩んでいた新人社員が、キャリアの方向性を明確にすることで、自信を持って今の仕事に取り組めるようになったとき
- 企業内で専門職として長く働いていた人が、対話をとおして、自身の能力を市場で試す決断をし、やりがいと自由を手に入れるため、独立起業の決断をしたとき
- 様々な不安から、長く転職に踏み切れなかった人が、自分の強みと大切にしている価値観を再確認して、新たな一歩を踏みだしたとき
子育てと仕事の両立に悩んでいた人が、自分が大切にしている価値観を明らかにして、「仕事も家庭も大切にできる未来がある」と信じ、感じ在宅勤務が可能な職場への転職を成功させたとき
- 介護と仕事の両立に悩み精神的に追い詰められていた人が、介護と仕事を両立させる具体的な方法があることに気づき、収入を減らすことなく、必要な介護ができるようになったとき
定年退職後は「自分にはもう働く場所がないのでは」と不安を抱えていた人が、これまでの経験を活かし、社会に貢献できる役割を見つけ、自信を取り戻したとき
一人ひとりの悩みや課題に真摯に向き合い、その人の人生が前に進む瞬間に立ち会えるのは、キャリアコンサルタントの特権ともいえます。さらに、こうした支援が個人だけでなく、職場や家庭、地域社会にまで良い影響を及ぼすことを実感できるのも大きな魅力です。